私の怒ることが全然口から出ていない。それは、とてもストレスです。

リンさん(ミャンマー)

 ヤンゴンからバスで10時間ぐらいのミャンマー南部のモン族の町で生まれ育ちました。母はモン族、父はモン族と中国人のハーフですが、家ではミャンマー語で話すことがほとんどでした。私が子どもの時にモン語を勉強する機会が得られなかったのが一つの原因かもしれません。

 大学までは学校でもいくつかの教科は英語のときもありましたが、基本的にほとんどミャンマー語でした。大学に入ってからは、ほとんどの教科が英語だったんですが、皆あまりわからないので、結局、先生はミャンマー語でもう一度説明をしていました(笑)

日本の歯科医師はとても大変。

 私は海外にも大学卒業まで行ったことがありませんでした。卒業後はクリニックで歯科医師として働いていましたが、実は最初は日本に行って、政治学や国際関係学を勉強しようかと思っていたんです。でも、同僚が歯学を勉強すると言ったから、一緒の方が心強いしと思って、結局、歯学を勉強することにしました。

日本に来てみたら、日本の歯医者さんはとても大変そうですね。ミャンマーでは歯科医師は尊敬される仕事ですが、日本だと患者さんは先生の上。いつも隣の先生の話を聞いていると大変だなと思います。日本も前はミャンマーと同じだったそうですが、今はどんどん変わって来ているそうです。

私はいっぱい話したいだけど、できない。

 日本で日本語を使うのは周りの人と話すとき、買い物をするときぐらいですかね。だいたいわかるんですが、わからない、知らない言葉もあります。知らない言葉があるときは「それ何ですか」と聞きます。ときどき細かいところがわからないですが、会話が終わったら、だいたいわかります。

レストランに行って、注文するのも、あまり難しくないです。写真があるから、「これお願いします」とか。買い物もだいたい大丈夫です。わからないときは携帯電話で写真を見せて「これ、ありますか」とか。

 日本に来て困った、難しかったことは言葉がなかなか出てこないことです。一度、ある女性が歩いている前を友達と横切ったら、その人に怒られた。そして、どうして「ごめんなさい」と言わないの、わからないの、日本語勉強しなさいとか後ろからずっと。外人も日本語勉強しなさいとか。とてもこわかったです。私たちは何も言わないで、その人を見ていたけど、ずっとやめなかった。大きな声で私はやめてくださいと言いました。でも、やめなかった。

そのとき、言い返したかったけど、日本語が出てこないし、あまりペラペラじゃないし、とても困りました。あと、気持ちが口から全然外に出ないのがストレス。言われていることはわかる。でも、言い返せないです。

日本人へのアドバイスはあまりない。

 辞書は意味がいっぱいあって、私が話したい言葉を辞書で見て、先生に見せたら、あまり使わないと言われる。その言葉はあまり使わないと言われる。「井戸」とか(笑)

 日本人の人は、日本語がわからない人とコミュニケーションできないと思います。英語を使ったほうがいいと思うけど、みんな英語ができるわけじゃないから、日常会話ぐらいわかれば大丈夫です。スマホで欲しいものとかを見せて「お願いします」だけできれば大丈夫です。